健康保険法改正で学習会 「OTC類似薬」負担増でも「現役世代負担軽減」になる?〔共済連〕

健康状態維持できず人手不足も

パルシステム生活協同組合連合会のプレスリリース

パルシステム共済生活協同組合連合会(本部:東京都新宿区、理事長:渋澤温之)は5月7日(木)、東新宿本部で2回目となる「医療・健康格差学習会」を開催し、オンライン視聴を含め29人が参加しました。全国保険医団体連合会(保団連)(本部:東京都渋谷区、竹田智雄会長)から講師を招き、本国会で成立が見通される健康保険改正案によるOTC(over the counter:市販薬)類似薬の追加負担の影響を学びました。

誰もが頼る1,100品目が対象に

学習会では、保団連事務局次長の本並省吾さんが、2027年3月に開始が予定されるOTC類似薬の追加負担による影響を解説しました。OTC類似薬は、市販薬と成分や効能がほぼ同じで、処方箋が必要な医薬品です。痛み止めの「ロキソニン」やアレルギー薬の「アレグラ」など77成分を使用する薬剤1,100品目を対象に、これまでの保険診療の自己負担額に加え、薬価の25%に当たる特別料金の支払いが必要となります。

▲際限ない医療費負担増を危惧する本並さん

政府は、痛みやかゆみ、発熱などの対症療法を目的に市販薬を購入する患者との公平性を確保するため、OTC類似薬の追加負担を求めることで、急増する国民医療費の削減を図り、国民一人当たりの保険料軽減を目指すとしています。2024年度の国民医療費48兆円に対し、OTC類似薬の費用は900億円で、総額の0.18%の削減となります。国民一人当たりに換算すると、年間400円、月額33円の削減です。

対象となる1,100品目は、痛みを抑える湿布薬や鎮痛剤、花粉症の抗アレルギー薬などを含む誰もが日常的に使用する薬剤です。対象に含まれる保湿剤やステロイド剤が必要なアトピー性皮膚炎などは、現役世代の患者も多く、就労や通学などの社会生活を送るためにも薬剤の継続使用が不可欠です。

日本人の2人に1人が発症すると言われる花粉症は、花粉の種類によっては数カ月にわたり服用しないと、労働生産性低下にもつながります。月額33円の負担減と引き換えに、花粉症の内服、点眼、点鼻のOTC類似薬の処方を受ければ月額1,500円の負担増になるとの試算もあります。

自己判断が生む悪循環

本並さんは「市販薬で熱や咳、痛みなど体調不良の初期症状への対症療法をする人は、忙しくて受診ができない現役世代が中心です。国が公平性を理由に、市販薬の利用を推奨するという間違ったメッセージが伝われば、受診控えや自己判断による悪循環が生まれます」と説明します。

医療機関を受診せず、自己判断により症状を市販薬で抑えていると、重篤疾患の進行や感染症のまん延につながりかねません。胃痛に効果のある市販薬を服用し続け、胃がんの初期症状を見落とし重篤化するなど、結果的に医療費増加につながるケースもあります。自己診断が不可能な感染症の初期症状を、市販薬で抑え込み社会生活を継続すれば、集団感染を引き落とし、社会機能の停止も招きかねません。

 「OTC類似薬の追加負担で、一時的に国民1人当り月33円の保険料負担が減ったとしても、将来的な社会の医療費負担増を招くコストパフォーマンスの悪い政策です」と本並さんは話します。医療現場や患者団体へのヒヤリングもなく負担増の改正案を決定したことも問題視し、2026年3月に実施した8,098人を対象とするオンラインアンケートの声を紹介しました。

就業も日常生活もあきらめる

20歳代のアトピー患者は「手取りが少ない中、食費を削るか治療をあきらめるしか選択肢が無い」子育て世代では「物価高騰の中、自分の慢性疾患と子どもも含む家族全員の薬代の負担増が家計を直撃する」など、受診控えや生活維持への影響を心配する声も多くあります。

「アトピー性皮膚炎を抑えるには、大量の保湿剤やステロイドが必要で、足りなくなれば仕事どころか日常生活もままならない」「保育士は、子どもたちの目線に合わせてかがんだ姿勢になり、抱っこやおんぶをするため慢性的腰痛などで湿布薬が欠かせない」など、OTC類似薬により日常生活を維持せざるを得ない患者の声もあります。

腰痛やヘルニアは建設現場の肉体労働者や運転手にも多い職業病で、就労継続のためには痛みを緩和する湿布薬は必須です。花粉症などアレルギー疾患の影響で、集中力を欠いたり、ふらつきにより転倒したりすれば、重大事故にもつながります。厚労省が推進する、労働安全衛生法に逆行する状況を生みかねません。

厚労省は法令通過後に、難病やがんなど特定疾患の患者と子どもへの配慮を検討するとしますが、慢性疾患を抱えやすい職業への配慮はしないとしています。介護や保育、肉体労働者など低賃金で社会を支えるエッセンシャルワーカーが、OTC類似薬の負担増加で健康維持が困難になり人手不足に陥る可能性もあります。

全額自己負担の可能性も

本並さんは「全ての疾患は、健康保険により保障されるはずであり、改正案は国民皆保険制度の根幹を揺るがす法案です」と話します。国会審議を通過してしまえば、OTC類似薬の品目を含む「一部保険外療養」対象範囲は大臣裁量で拡大可能な規定になっており、法律上は全額自己負担とすることも可能です。

本並さんは「将来的な医療の全面自己責任化への第一歩として位置づけられる危険性があります」として「自己判断が基本で、受診しなければ自己責任となる社会にしないよう、現役世代にこそ課題を伝え、医療を受ける権利を発信してください」とのメッセージを伝え学習会を締めくくりました。

パルシステムグループはこれからも、多様な組織との連携で暮らしを取り巻く課題に向き合い、誰もが健やかに生きていける社会づくりを目指します。

第1回「医療・健康格差学習会」

パルシステム共済生活協同組合連合会

パルシステム共済生活協同組合連合会

所在地:東京都新宿区大久保2-2-6 ラクアス東新宿、理事長:渋澤温之
経常収益:42.1億円、職員数:68人、共済・保険総保有件数52.2万件、出資金:20億円(2025年3月末現在)
HP:https://www.palsystem-kyosai.coop/

パルシステム生活協同組合連合会
所在地:東京都新宿区大久保2-2-6 ラクアス東新宿、理事長:渋澤温之
13会員・統一事業システム利用会員総事業高2,604.2億円/組合員総数176.2万人(2025年3月末現在)
会員生協:パルシステム東京、パルシステム神奈川、パルシステム千葉、パルシステム埼玉、パルシステム茨城 栃木、パルシステム山梨 長野、パルシステム群馬、パルシステム福島、パルシステム静岡、パルシステム新潟ときめき、パルシステム共済連、埼玉県勤労者生協、あいコープみやぎ
HP:https://www.pal-system.co.jp/

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