「中華料理店」の倒産動向(2026年1-5月)
株式会社帝国データバンクのプレスリリース

株式会社帝国データバンクは「中華料理店」の倒産発生状況について調査・分析を行った。
SUMMARY
地域に根差した大衆的な「町中華」や本場志向の「ガチ中華」など、根強い人気がある中華料理店。2026年1-5月に発生した「中華料理店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は12件となった。1-5月累計でみれば、3年連続で10件台となるなど高水準ではあるものの、過去最多だった2025年(31件)に比べると少なく、年間では4年ぶりに前年を下回る可能性がある。
集計期間:2000年1月1日~2026年5月31日まで
集計対象:負債1000万円以上・法的整理による倒産
[注]中華料理店(町中華):飲食店業態における「中華・東洋料理店」のうち、「中華(中国)料理」をメインに提供する企業。ラーメン店専業などは除く
「町中華」ブーム恩恵 中華料理店の倒産、4年ぶり減少へ
地域に根差した大衆的な「町中華」や本場志向の「ガチ中華」など、根強い人気がある中華料理店。2026年1-5月に発生した「中華料理店」の倒産(負債1000万円以上、法的整理)は12件となった。1-5月累計でみれば、2023・24年の水準(各19件)に比べて3割以上少なく、年間で過去最多だった2025年(31件)をピークとして4年ぶりに前年を下回る可能性がある。

「町中華」は近年、昔ながらの佇まいや雰囲気が若年層にとって「エモい」と注目されたほか、注文から提供までがスピーディーで、サラリーマンなどを中心に一人でサッと食事を済ませる場所として重宝されてきた。また、物価高で実質賃金が低下するなか、安くてボリュームのある料理が多い町中華は、テレビ番組など特集されるなど知名度も高まった。麻辣湯(マーラータン)をはじめとした、「町中華の価格で食べられる本格的な中華料理」=ガチ中華ブームも加わり、学生から健康志向の女性層など幅広い顧客層の開拓にも成功した。
こうした動きを背景に、2025年度の「中華料理店」における業績動向(4月時点)は3割超が「増収」となった。訪日外国人客や国内の観光需要に加え、居酒屋に比べて割安なコース料理などの人気が高まり、法人向け宴会需要も増加するなど、町中華にとって強力な追い風となった。なかでも、メディア等で「町中華」「ガチ中華」といった特集が頻繁に組まれるようになり、SNSなどでも注目を集めた2023年度は6割に迫るなど、近年の中華料理ブームによる恩恵で売り上げを伸ばした企業は多い。
損益面でも3割超が「増益」を確保したものの、2023年度をピークに低下傾向が続いた。ラーメンや餃子だけでなく、オムライスやカツ丼、カレーライスまで多彩なメニューを提供する町中華では、仕込みの手間と食材ロスが多い。また、長引く物価高で一般消費者の節約志向が定着し、「安さ」を強みに客足を増やしてきた町中華では、米や肉類などの食材価格や光熱費といった店舗運営コストが高騰しても十分な値上げに踏み切れず、損益面では苦戦する企業も少なくない。個人創業や小規模な中華料理店では店主の高齢化も進み、体調不良による店舗休業や、そのまま暖簾を下ろしたケースもみられる。
足元では、物価高のなかで「安い・早い・うまい」を求めるニーズが高まっている。こうしたなか、客足が増えている「町中華」業態を掲げて本格参入する大手外食チェーンの存在もあり、「町中華」業態は次第に激戦区となりつつある。昔ながらの町中華にとっては原材料コスト高や人手不足、後継者問題など課題も多いなか、こうした逆風をどう乗り越えるのか注目される。

