ジビエの活用とAYTNmRの考え

ヨーロッパの真似できない日本の山とジビエ事情

AYTNmRのプレスリリース

外観

大阪、天満橋に2月より新しくオープンしたフレンチレストランAYTNmR(アイテノマ)。

オーナーシェフ藤崎の哲学が詰まった日本らしさ溢れるレストランです。

素材の本質を感じる、普遍的な日本の食をお楽しみください。

https://aytnmr0204.foodre.jp/

店名:AYTNmR

内観

電話:06-7777-7532

住所:〒540-0035 大阪府大阪市中央区釣鐘町1丁目4-3

アクセス:大阪メトロ谷町線 天満橋駅徒歩3分

営業時間:ランチ12:00~15:00 ディナー18:00~23:00

定休日:不定休 Instagramをご確認ください。

座席数:カウンター 4席

    テーブル  4名掛け2卓

    個室    10席

AYTNmR 天満橋/フレンチ ネット予約可 | ヒトサラ

ジビエの取り組み

なぜ日本のジビエの9割も廃棄されるのか

第一回の寄稿で前述した通り、日本の害獣対象の動物たち捕獲された後、現在90%近くが処分されている状態です。

農林水産省によると年間約130万頭が捕獲され、ジビエ利用率は2016年の約7%から現在は約13%と微増しているものの、半数以上が処分されています。

なぜ他国のように流通しないのか。AYTNmRオーナーシェフ藤崎が料理人として生産者さんやハンターの方たちと対話する中で、日本特有の要因が見えてきました。

・処理施設への搬入が困難

止め刺しから概ね1~2時間以内に処理施設へ搬入、解体する必要があります。

これが山奥で捕獲された場合、運ぶ手段や時間が足りず、断念せざるを得ない状況がでてきます。

・ハンターの高齢化と人手不足

ハンターが高齢化しており、重い鹿や猪を山から運び出すのが難しく、埋設処分されるケースがあります。

高齢化と人材不足は農家さん、漁師さんと話してもよくでてくる話題のひとつです。

・採算が合わない

一頭からとれる可食部は全体の四割程度です。銃弾、施設の維持費、検査費用等コストを考えると飲食業界同様、「好きだから続けれる仕事」になりつつあるような気がします。

つぬがジビエ宮迫さん
イベントでの鹿肉の薪焼き
AYTNmRディナーコースの鹿肉

ヨーロッパを「手本」にできない事情

「ジビエ」という言葉はフランス語です。言葉の知名度がある通り、ヨーロッパ特にイタリア、フランスでは日本とは対照的に、鹿や猪は高級食材として扱われます。

・狩猟に対する文化の違い

ヨーロッパにおいて狩猟は古くから「紳士の嗜み」として発展してきました。ハンターの社会的ステータスが高く、仕留めた獲物を美味しくいただくことが文化として根付いているのです。

一方、肉食禁止の歴史があった日本では、狩猟は「おいしく食べること」ではなく「農作物を守ること」という側面が強いのです。

・捕獲方法の違い

ヨーロッパでは原則、銃で仕留めます。一発で仕留めることが多く、動物がストレスを感じる前に素早く処理でき、血の回らない食肉としての品質が保たれます。

日本では6割ほどが罠によるものです。これは安全性や地形の複雑さからです。どうしても動物が暴れてしまい、過度なストレスから肉質は劣化してしまいます。

・物流の仕組み

ヨーロッパではハンターの国家資格の難易度が高く、ハンター自身が一時処理を行えます。つまり、ハンターがその場で解体処理して検疫を行えば、直接市場やレストランに売却できるのです。。

日本では厚生労働省のガイドラインに基づき、専門の食肉処理施設に搬入しなければならないルールがあります。前述したとおり、ここに運びこむ、という作業がそもそも高いハードルになっているのです。

無駄にしない取り組み

しばしば、ヨーロッパがお手本として話にでてきますが、日本の「地形の複雑さ」ではヨーロッパの仕組みを真似ることは不可能です。現在はペットフードや革製品としての活用など、日本に合った普及の方法を模索している状態です。

ジビエの仲介業者

日本の地形やルールの壁をクリアし、処理施設に搬入できたとしても最後、「販売先がない」という大きな問題がでてきます。

食肉処理施設は当然、精肉した商品をディスプレイしているわけではありません。道の駅に営業に行って商品を置いてもらう、地元の飲食店に声をかける等、様々な販売活動を担う必要がでてきます。

そんな中、藤崎の友人の菅原さんが面白い取り組みをしています。

それがジビエ専門の仲介業者です。獲物をとる人、加工する人、商品を売る人を完全に分業しようという取り組みです。

菅原さんは現在、福井県の数か所の食肉処理施設と連携し、加工されたジビエを全国のレストランに届ける橋渡し役を担っています。

レストランで鹿、猪のおいしさを知ってもらい、一般層の消費につなげようという考えです。

この仕組みにはレストラン側にも最大のメリットがあります。それは止め刺しから手元に届くまでの情報が明確なことです。

菅原さんに聞けば、「誰がいつ捕獲して」「何時ころに止め刺しして」「何日間熟成させて」

そういった必要な情報がすべて明確です。つまり食肉の品質が担保されているのです。

AYTNmRでは基本的に敦賀市にあるつぬがジビエの宮迫さんから仕入れています。

理由は、写真の背景でもわかる通り作業場がとても綺麗なのと、宮迫さんという人柄を知っているからです。この人柄が肉質の綺麗さに直結しているように思います。

僕たちのレストラン

AYTNmRでは通年、コースのどこかに日本のジビエを使うようにしています。

一個人のレストランの取り組みで普及率が一気にあがるわけではないですが、僕たちは基本的に国内の食材しか使いません。そのため日本の季節に応じて変わっていく野生の肉質を通年使うこと、それが自然な流れのように感じるのです。

AYTNmRオーナーシェフ藤崎より

日本のジビエというジャンルにおいて、僕たちの仕事は大きな責任があります。

ハンター、処理施設、仲介業者とつないだバトンを、僕たちの実力で「なんか微妙だったな」と思われてしまうような料理にしてしまうと台無しになるからです。この流通の仕組みはどの食材でも当たり前に適用されていますが、魚も野菜も買い手はいます。ジビエの需要と供給のバランスの悪さ、しかし害獣対象として駆除しなければならないという現状はかなり特殊だと感じます。

ですがこれは調理する側にとっては成長の機会でもあります。

僕に料理を教えてくれた人たちの言葉に「頭を使って料理する」というものがあります。同じことやってたら上手くなるのは当たり前だろ、と。それはその通り。僕自身古典的な料理は好きですし、需要も一定数あります。が、画一化されたレシピがある料理は頭を使わず、料理の幅も広がりません。創造というより一定数こなしたその作業が上手になっているだけです。それが成長と呼べるかは微妙なところです。通年ジビエを使うことによってそのときの旬の食材との合わせ方や皿の仕立てを考える。その行為が僕たちの成長につながる良い機会だと思うのです。

そして色々書きましたが来客される方々になんの関係もない話ですし、ジビエの問題点にフォーカスしているだけでAYTNmRの売りがジビエというわけでもありません。おいしいものを食べたい、ゆっくり食事がしたい。そんな方たちの会話の中に少しでもジビエの話題があがれば僕たちの勝ちです。シンプルですがどの食材でもおいしいと思ってもらえる料理にしたらその食材に価値がつきます。AYTNmRはそんな挑戦の連続であり続けたいと思っています。

オーナーシェフの紹介

藤崎直輝

1995年3月8日生まれ

鹿児島県鹿屋市に生まれ、市内の調理学校卒業後大阪のホテルに就職。

国内外のレストランで働き、独立に至る。

日本の一次産業、飲食従事者の育成に興味を持ち、日本各地の生産者、調理学校等との交流を大事にしている。

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