クミン抽出物の継続摂取が高齢者の認知機能をサポートする可能性を確認

エスビー食品と筑波大学がスパイスの健康価値を科学的に解明

エスビー食品株式会社のプレスリリース

エスビー食品株式会社は、国立大学法人筑波大学(以下「筑波大学」)生命環境系の礒田博子教授および体育系の大藏倫博教授のグループと共同で臨床研究を行い、クミン※抽出物の継続摂取が高齢者の認知機能の一部指標の改善に役立つ可能性があることを明らかにしました。また、体内の炎症状態を表すマーカーであるIL-6が減少する傾向も示されました。この研究成果は、論文として電子ジャーナル「Frontiers in Nutrition」誌に掲載されています。

※クミン:地中海沿岸地域やインドなどで栽培されている、カレーに欠かせないスパイスの一つ。

■研究の背景

エスビー食品の事業の核であるスパイスとハーブは、古くから人間の生活に欠かせない活力源や生薬として重宝されてきました。ビジョン「『地の恵み スパイス&ハーブ』の可能性を追求し、おいしく、健やかで、明るい未来をカタチにします。」の実現に向けて、おいしさだけでなく、人々の健やかな暮らしを支える機能の研究開発を進めています。

その取組みの一つとして、2017年に筑波大学と産学共同研究を開始しました。筑波大学地中海・北アフリカ研究センターが保有する食薬資源の伝承薬効情報や生理活性に関する研究成果を踏まえ、スパイスとハーブの機能性に関する応用研究に取り組んでいます。

高齢化が進むなかで、認知機能の維持・向上は健康寿命の延伸に向けた重要な課題として関心が高まっています。こうした背景から、今回の研究では加齢に伴う認知機能の変化に着目しました。

一般的に、加齢による認知機能の低下を抑える対策としては、日常的な運動や脳のトレーニングなどが挙げられます。さらに近年、さまざまな食品素材を対象として認知機能改善効果の研究が進んでおり、スパイスやハーブに含まれる成分にも有用性が期待されます。これまでに礒田教授らの研究グループは、神経細胞などを用いた研究により、クミンの主要成分であるクミナール(クミンアルデヒド)に認知機能の改善をもたらす可能性があることを示してきました。

そこで本研究では、クミン抽出物を含むカプセルを試験食品として、クミン抽出物の継続摂取が高齢者における認知機能の維持・改善に役立つか検証することを目的としました。

■研究の方法

つくば市近隣に在住する65歳以上の高齢者で、認知症やうつ病に罹患していない方を募集しました。同意が得られた参加者を、クミン抽出物(クミナールとして25mg/日)を摂取する群(以下「クミン群」)と、クミン抽出物を含まないプラセボ※1を摂取する群(以下「プラセボ群」)にランダムに分けました。参加者はいずれかの試験食品を12週間摂取し、摂取前後にコンピュータを用いた認知機能評価システム「Cognitrax」による評価を実施しました。さらに、血中の酸化ストレスや炎症状態を表すマーカーを測定しました。データ解析は適切に試験を完了した各群19名(クミン群は男性9名と女性10名、プラセボ群は男性8名と女性11名)を対象とし、年齢および教育年数※2を考慮して調整しました。

※1 プラセボ(対照食品):有効成分を含まず、見た目を試験食品と同じにした比較用の食品。

※2 認知機能に関する研究では、学校で学んだ期間が長い人ほど記憶力や判断力などを測るテストで高い結果を示す傾向があることが知られているため、年齢だけでなく教育年数の違いも考慮して解析を行うことが一般的です。

■研究の結果

図1、図2に示すように、クミン群では認知機能評価における「認知機能速度」および「反応時間」のスコアが、プラセボ群と比べて有意に改善しました。認知機能速度は、周囲の状況や情報を認識し、正確に判断して行動する力を示す指標です。また、反応時間は、呼びかけや合図に対してすばやく反応する力を示す指標です。

p値:観察された差が偶然によるものかを評価するための指標。

一般的にp値が0.05未満の場合、統計学的に有意な差があると判断されます。

一方、血中成分の解析では、図3に示すように、炎症状態を表すマーカーとして知られるIL-6が、クミン群においてプラセボ群と比較して減少する傾向を示しました。先行研究により、IL-6の増加は認知機能の低下と関連することが知られています。本研究の結果から、クミナールを含むクミン抽出物は、体内の炎症を抑制することにより、高齢者における認知機能の一部指標を改善する可能性があると考えられました。

■研究成果のまとめ

・クミン抽出物を12週間摂取した高齢者において、認知機能評価の一部指標がプラセボ群と比べて有意に改善しました。

・炎症状態を表すマーカーとして知られるIL-6は、クミン群においてプラセボ群と比較して減少する傾向が示されました。

・クミナールを含むクミン抽出物は、体内の炎症を抑制することにより、高齢者における認知機能の一部指標を改善する可能性があると考えられました。

■今後の展望

今回の研究で着目したクミンは、近年のスパイスカレー人気などを背景に、日本の家庭でも使用機会が広がっているスパイスの一つで、古くから地中海沿岸地域やインドなどで利用されてきました。クミンをはじめとするスパイスやハーブが日常的に使われる地中海式の食事は、野菜や果物、全粒穀物、魚介類などを豊富に含み、健康寿命の延伸に役立つことが多くの研究で報告されています。今回の研究結果は、こうした食文化を支えるスパイスやハーブの価値を考えるうえでも興味深い知見といえます。

当社では、「スパイス&ハーブ=健康」の浸透を目指し、科学的エビデンスに基づく研究を進めています。今後も研究成果の蓄積と情報発信を通じて、スパイスやハーブの新たな価値創出に取り組むとともに、人々の健康の維持・増進や健康寿命の延伸への貢献を目指してまいります。

■参考情報

論文掲載

本研究成果は、電子ジャーナル「Frontiers in Nutrition」誌に掲載されています。

・「Frontiers in Nutrition」掲載内容

https://www.frontiersin.org/journals/nutrition/divs/10.3389/fnut.2026.1784027/full

関連ニュースリリース

・2017年9月

「筑波大学とエスビー食品 スパイスとハーブの機能性研究に関する産学共同研究を開始」

https://www.sbfoods.co.jp/company/newsrelease/2017/pdf/1709_tsukubaac.pdf

関連リンク

・エスビー食品 研究開発ページ https://www.sbfoods.co.jp/company/rd/

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