糖尿病対策は血糖値だけじゃない!?「血糖値の落とし穴」とは…

株式会社 明治のプレスリリース

★医師の87%はヘモグロビンA1cを重視、生活者の69%は血糖値を重視 ★相撲部屋の食事から学ぶ、糖尿病対策のヒント

10月8日は「糖をはかる日」です。日本生活習慣病予防協会では、株式会社 明治の協賛で「『ヘモグロビンA1c(HbA1c)』スペシャルトークイベント」を開催しました。

ゲストには、現役時代から糖尿病にならないようにと健康意識の高かった元大関 琴欧洲・鳴戸親方。そして総合診療医の伊藤大介医師をお迎えしました。冒頭、伊藤医師がぜひ伝えたいと示したのが「血糖値の落とし穴」です。

日本生活習慣病予防協会では、「糖をはかる日」を前に、医師と生活者に対し「血糖値・ヘモグロビンA1cに対する意識調査」を実施しました。

医師と生活者の意識のギャップが最も表れた質問が「血糖値とヘモグロビンA1cのどちらを重視するか」。生活者の69%が血糖値と答えたのに対し、医師は87%がヘモグロビンA1cと回答。真逆の結果になりました。

■なぜ相撲部屋で血糖対策!? 鳴戸親方の健康意識が高いわけ

紹介したVTRでは、鳴戸親方の健康意識の高さの秘密が垣間見えました。19歳でブルガリアから来日し、大関まで上り詰めた現役時代に、既に独学で健康管理を実践していたといいます。

親方は「病気になりたくない、お相撲さんは無理して食べることがあるから糖尿病になりやすい」と思っていたそうです。

しかし、現役を引退し親方になってからは、健康管理の悩みもあるといいます。

毎日のように外食をするなか、「どうぞどうぞ、親方が来たからたくさん用意しました」と多くの食事を勧められることが多く、残すのは悪いと食べてしまうそうです。

そんな親方ですが、今は13人の弟子を預かる身。力士ならではの「たくさん食べて体重を増やす中での

健康管理」の大切さを語ります。親方は「体を動かして正しい食事をすることを日課にすることが大事。

病気になってからではなくて、病気にならないこと。みんなが健康でいてほしい」と語りました。

また、「相撲の前にレスリングをしていて、体重別があったので、10代のころからどういうものをどの順番で食べるかを勉強していた」と、競技人生を通じて食事の大切さと向き合ってきたことを明かしました。

また伊藤医師は、「ちょっと運動してみよう、お酒をやめてみようといった“一瞬”の努力は誰でもでき

る。現役と引退後で環境がガラッと変わっても健康であり続けている。ずっと続けていることが本当素晴らしい」と称賛しました。

「食べることが仕事。でも、体を壊したら。後の人生のほうが長いですから・・・」そう語る鳴戸親方の言葉からは、弟子たちの健康に対する細やかな配慮もうかがえました。

■なぜ医師と生活者に意識のギャップが? 調査から見えた意識の実態

では、医師と生活者の意識のギャップの詳細を「血糖値・ヘモグロビンA1cに対する意識調査」の結果から見ていきましょう。

まずは「血糖値とヘモグロビンA1cのどちらを重視するか」を尋ねた質問です。医師は、87%が「ヘモグロビンA1cを見てほしい」と答えたのに対し、生活者はその逆、69%が「血糖値を重視」と答えました(図1)。鳴戸親方も「私も血糖値だけを意識していましたね」とコメント。

いったいなぜ生活者は、ヘモグロビンA1cをそれほど重視していないのか。調査結果からは、ヘモグロビンA1cの知名度にカギがあることがわかりました。

生活者に、健康診断の数値を「どの程度知っているか」を尋ねたところ、図2-2の一番右の赤い部分、ヘモグロビンA1cを「知らない」と答えた人は40.3%。全指標の中でワーストでした。ヘモグロビンA1cは最も知名度が低い指標という結果になったのです(図2-2)。

伊藤医師は「実際の臨床や診療の感じとかなり一致している。カタカナが羅列されているので、一般の人からはかなりわかりづらい指標の一つなのかなと思います」と分析しました。

そして、図1と図2-2の質問をさらに深く分析すると、とても興味深い事実が明るみになりました。

図1の「血糖値かヘモグロビンA1cどちらを重視する?」という質問を、生活者がヘモグロビンA1cをどこまで理解しているかで分けて分析しました。

すると、「名前は知っているけど意味は理解していない」という人は、血糖値を重視と答える人が多いままだったのに対し(図3右)、「意味まで知っている人」では71%がヘモグロビンA1cを重視すると答えました(図3左)。つまり、名前を知るだけではなく、意味まで理解することが大切ということでした。

そしてもう一つ。まさに「血糖値の落とし穴」ともいえる質問も。生活者に「血糖値で糖尿病のリスクを十分に把握できるか」を聞いたところ、87.5%の人が「そう思う」と答えたのです(図4)。

■なぜ医師は血糖値よりヘモグロビンA1cを重視するのか?

伊藤医師はまず、血糖値だけではなぜだめなのか、解説しました。

「血糖値は一言で言うと、瞬間風速なんですね。すごく波のように変動しているのですが、食事をとったら、血糖値がバーっと上がって、その後運動とかで消費されて、また昼食で上がって、また消費されて、夕食になって上がってというのを繰り返します。でも、健康診断の時って結構皆さん、ちょっと食事気をつけなきゃと、すごく頑張っちゃう。そうすると普段の血糖値の波の山が小さくなってしまう。で、血糖値が正常になってしまいますね。なので、頑張ってしまうと血糖値がすぐ改善してしまうというところが、落とし穴なわけですね。つまり、これは極めて極めて短期的な指標であって、中長期的な数値ではないということになります。」

続いて、伊藤医師はイベントの本題「ヘモグロビンA1c」の大切さを解説しました。

「ヘモグロビンA1c は赤血球の中にあるタンパク質のことです。ヘモグロビンは、いろんな種類があって A1cって呼ばれている部分が糖分とくっつきます。そして、その糖分がくっつく割合がヘモグロビンA1cです。赤血球の寿命は140日ぐらいで、その半分ぐらいの約1ヶ月から2ヶ月ぐらいの平均の血糖を指しています。この指標は1日の中で変動するようなものではないので、もしヘモグロビンA1cをちゃんと改善させるなら、少なくとも1ヶ月から2ヶ月は頑張らないといけない。つまり、継続の力が試される指標です」

そしてヘモグロビンA1cの数値の見方も大切だといいます。

「基準値は5.6までだったら正常で、5.6~6.0だと糖質が普段から少し過剰なのかもしれない。6.0~6.5だと境界型糖尿病といって糖尿病の予備群に入ってきている可能性、そして6.5以上だといよいよ糖尿病の可能性を疑う診断になっていきます。なので、このヘモグロビンA1cは中長期的なかなり優れた指標なんですね。」

■鳴戸親方のヘモグロビンA1cは

本イベントに参加するにあたり、鳴戸親方はまず9月4日にヘモグロビンA1cを測定しました。

その結果は「5.2」の正常範囲内。

注意が必要となる5.6との差は0.4ですが、伊藤医師によると「5.6と6.0の差も同じ0.4だが、これが正常の範囲か境界型(糖尿病予備群)かの分かれ目になる。0.4の差は非常に大きい」

そして約1か月後の10月6日に再び測定しました。

親方は「9月場所中はなかなか運動ができなかったから大丈夫かな」と心配になったそうですが、結果は「5.2」と同じ数値が出ました。親方の結果からも、ヘモグロビンA1cが短期間では変動しない中長期的な指標であることが改めてわかりました。

■ヘモグロビンA1cを測定する方法

・健康診断のオプションに追加。

・「ゆびさきナビ」で、近くの薬局などの「ゆびさきセルフ測定室」を探し測定に行く。

・簡易測定キットで自宅で採血し郵送する。

 ※ゆびさきセルフ測定室とは

「ゆびさきセルフ測定室」は、薬局などで指先からわずかな血液を採取し、自分自身で健康状態をチェックできる「検体測定室」です。短時間で血糖値やヘモグロビンA1c、脂質などを測定でき、日頃の健康管理や生活習慣を見直すきっかけとして活用されています。 https://navi.yubisaki.org/

■鳴戸部屋の食事には血糖対策のヒントがいっぱい!

では、ヘモグロビンA1cの数値を上げない、低く保つにはどうすればいいのか。イベントでは鳴戸部屋の食生活の様子もVTRで紹介されました。

鳴戸親方と伊藤医師の食事風景

力士の体を作るのも、健康を維持するのも大切なのは食事です。ちゃんこ場(調理場)には、力士がすっぽり入れるほどの巨大な冷凍庫があり、全国の支援者から送られたたくさんの食材が保管されています。調理をするのも弟子たちの役目。体をただ大きくするだけでなく健康も維持するため、肉や野菜をバランスよく使った料理を意識しています。弟子によると「量を食べなきゃいけないので、親方はいつも野菜から食べるようにと、食べる順番を言っています」ということです。

さらにブルガリア出身の親方ならでは「ヨーグルト用冷蔵庫」もありました。親方は生まれてからずっとヨーグルトを食べ続けているそうで、「鳴戸部屋にはお相撲さんになってから糖尿病になった人は誰もいない。食べることが仕事。やっぱり体を壊したら、後の人生の方が長いので・・・」と語りました。

鳴戸部屋のヨーグルト冷蔵庫

伊藤医師は「正直、衝撃的でした。太らなければいけないので、ラーメンなど炭水化物に偏っているのではと思っていたのですが、僕よりもヘルシーな食事をしているのではと思えるほど、野菜やきのこ、たんぱく質が中心。いろいろな種類の料理で栄養バランスを整えていて、栄養士顔負けのメニューでした」と鳴戸部屋の食生活を絶賛。

親方は「小さいものではなく、ヨーグルト500gを蓋開けて振って飲む」と力士らしい豪快なヨーグルトの飲み方も紹介してくれました。

伊藤医師によると、ヨーグルトなどを食べることで腸内細菌や免疫細胞を整え、慢性炎症を抑えることが、血糖値を緩やかにすることにつながるそうです。

最後に、伊藤医師から「私たちにもできる血糖対策」をアドバイスいただきました。

◆年に一度の健康診断を必ず受け、結果は捨てずに数値を記録しておく

◆「毎月8日」のように、自分の中で定期的に「はかる日」を決める

◆食べる順番を工夫する、食後に体を動かすなど、続けやすい習慣を一つ決める

◆一人でやらず、家族や職場など周囲と一緒に取り組む

実は鳴戸親方も普段から少しでも体を使うよう意識しているとのこと。

「一駅手前で電車を降りたり、エスカレーター、エレベーターじゃなくて階段を使うこと」事前の取材では、夜に飲みすぎたり食べ過ぎたりした時は、5~10㎞以上歩くこともあるんだとか。

そしてイベントの最後には、“はかって、理解して、続ける”ことの大切さが語られました。

■登壇者プロフィール

鳴戸 勝紀親方 元大関 琴欧洲 ブルガリア出身

2002年11月に佐渡ヶ嶽部屋に入門し、2005年11月、初土俵からわずか3年という異例の速さで大関に昇進。2008年には幕内最高優勝を果たし、大関在位47場所は歴代でも上位に入る記録です。 2014年3月場所限りで現役を引退し、2015年に15代「鳴戸」を襲名。2017年に鳴戸部屋を創設し、若手力士の指導にあたるかたわら、現役時代からの体づくりと健康管理の知見を、部屋の食生活や稽古にも生かしています。

伊藤 大介医師 一之江駅前ひまわり医院 院長
  生活習慣病・糖尿病領域に詳しい総合診療医 

東京大学医学部卒業、同大学医学部外科博士課程修了。日本赤十字医療センター、東京大学医学部附属病院などを経て、2020年8月より一之江駅前ひまわり医院院長。 日本病院総合診療医学会認定医。内科・皮膚科を中心に生活習慣病を含む幅広い診療を行う傍ら、NHK、週刊文春など各種メディアで医療解説を担当。著書に『総合診療医が徹底解読 健康診断でここまでわかる』(文春新書)。

 【日本生活習慣病予防協会】

日本生活習慣病予防協会は、生活習慣病の一次予防を中心に、その成因、診断、治療、リハビリテーションに関する知識の普及啓発、生活習慣病に関する調査研究を行うことを目的に、2000年に設立。設立当初より、健康標語『一無、二少、三多(いちむにしょうさんた)』(無煙、少食、少酒、多動、多休、多接)の健康習慣を提言しています。2011年より毎年2月を「全国生活習慣病予防月間」として、この健康習慣の普及を図っています。2016年には、1月23日を『一無、二少、三多の日』として記念日登録しました。役員は、医師を中心に構成されています。

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