酒文化研究所のプレスリリース
【酒好きほぼ100人に聞くアンケート“酒飲みのミカタ”】
定時退社が増えたらあなたのお酒はどう変わる?
― ちょい飲み&家飲みが増加 ウイスキーと日本酒にチャンス
4月から働き方改革法が施行され、世の中が残業を減らし、休暇を積極的に取る方向に動き始めました。そこで今月は、お酒好きの皆さんに、早く仕事を終える日が増えたら、お酒との付き合い方がどう変わりそうかをお聞きしました。飲む場所、飲む酒、飲む相手など、働き方改革で、日本の酒ライフがどう変わりそうかをレポートしました。
■「週の半分以上定時退社」が4割 「昨年より増えた」は3割
最初に定時退社の実態を見てみましょう。定時退社が「ほとんど毎日」という方は20%、「週の半分」が19%あり、4割が2日に1回程度は定時で退社しています。反対にほとんど定時で帰っていない「月に2~3回」(12%)「月に1回以下」(10%)が2割あります。また、自営業や経営者で「定時がない」方は21%ありました。働き方改革法の対象にならない方も一定数います。
昨年と比べての定時退社の増減を聞くと、「増えた」が12%、「少し増えた」が19%で、合わせると定時退社が増えた方が3割を占めます。「減った」(5%)「少し減った」(4%)は合わせても約1割ですから、定時退社が増える傾向にあることがわかります。
■定時退社が増えたら増やしたいのは「趣味の時間」
次に定時退社が増えたら増やしたいことを聞いてみました。群を抜いて高かったのは「趣味の時間」で62%にのぼりました。 続くのは「休養の時間」「娯楽の時間」で3割を超えています。
それ以下ではプライベートの友人や家族との交流を深めるために時間を使いたいと考えている方が多く見られます。交流の場には飲食が付きものです。これまで以上に豊かな食卓に関心が向かうかもしれません。「子供と触れ合う時間」が14%と低かったのは、回答者に子育て期の20代・30代が17%と少なかったことが影響していると思われます。
なお、自営業・経営者で定時がない方には「仕事の時間が今よりも短くなったら」と条件を置き換えて聞いています。以下の外飲みや家飲みについての質問も同様です。
■増えそうな「ちょい飲み」 ハッピーアワーに注目
定時退社が増えると外飲み(料飲店での飲食)がどのように変わるかを聞いた質問では、「特に変わらない」という回答が26%でトップだったものの、ほぼ同率で「帰宅途中のちょい飲みが増える」があがりました。仕事の後まっすぐ家に帰らずに軽く一杯飲んで帰るという行動パターンは昔からありますが、こうした変化に対応した新しいスタイルの料飲店が登場したり、ちょい飲み向きのハッピーアワー(早い時間に限ってドリンクを割引するサービス)が一般化したりするかもしれません。
ほぼ同率で続くのは「よく行く店に行く機会が増える」(25%)という回答です。料飲店から見ると既存客の来店頻度を高める仕掛けが大事になってきそうです。
また、選択率は17%ですが「自宅近くの店に飲みに行く機会が増える」という回答には注目したいところです。現在は職場の近くや都心の繁華街で飲むことがほとんどという方が、電車の時間や乗り過ごしを気にせずに飲める自宅近くで飲むように変わるかもしれません。特に共働き世帯では、夕食の準備も片付けもしなくて済む外食を自宅の近くで選択することが増えるのではないでしょうか。パートナーと2人でシェアできるライトなコースメニューも登場しそうです。
■定時退社が増えて家飲み増加、ウイスキーと日本酒が増えそう
最後に家飲みがどう変わりそうかを見てみると、定時退社が増えたら「(家飲みの)回数が増える」という方が35%と「特に変わらない」(32%)を上回りました。「時間が長くなる」は28%、「飲む量が増える」は26%と、定時退社の増加は家飲みを増やす方向に働くのは確かなようです。
飲むお酒の種類については「特に変わらない」が36%と最多だったものの、「ウイスキー(ハイボールでない飲み方)が増える」「日本酒が増える」「ワインが増える」が上位に挙がっており、現在よりも本格的なお酒を自宅でゆっくり楽しむことが増えそうです。ビールや缶チューハイで飲み始めて、その後にウイスキーや日本酒を飲むという流れでしょうか。さらに「自分でつくるチューハイやハイボールが増える」という回答もワインと同程度あり、増えた余暇時間は自宅での酒の楽しみ方のバラエティを確実に広げそうです。
また、今回のアンケートでは数字に表れませんでしたが、全体の流れから見て、時間にゆとりのある金・土・日に飲まれることの多いプレミアムビールは、定時退社の増加によって一層伸びていくのではないでしょうか。
*
働き方改革は一時の変化ではなく、今後の生き方・暮らし方にずっと影響を与え続ける制度変化です。回答者からは、働き方改革によってワークライフバランスが見直され暮らしが豊かになるという主旨の意見が多く寄せられました。一方で「仕事量が減らなければどこかにしわ寄せがいく」や「GDPが減って老後の不安が増える」というように、長時間労働を規制するだけでは、無理が生じたり衰退を招いたりするという指摘もありました。
定時退社の増加は平日の晩に数時間の自由な時間を増やします。有給休暇の取得も進みます。余暇時間をうまく活用する提案が増えて消費を活性化させ、生産性を高めて経済を停滞させないよういしたいものです。■
■調査概要
調査時期:2019年5月16日~5月22日
調査方法:自記入式ネットアンケート調査
対象:酒文化研究所モニターなど酒好きな有職者
有効回答:109
■お問合せ
株式会社酒文化研究所 担当 山田聡昭 Tel03-3865-3010(平日9:30~17:30)
Email yamada@sakebunka.co.jp