[味香り戦略研究所 自主調査結果リリース] コンビニカウンターコーヒー(ラテ)の味覚動向と、 それを好む世代別嗜好性の予測を発表

株式会社味香り戦略研究所のプレスリリース

 株式会社味香り戦略研究所では、味覚センサの結果を活用したオリジナルの設問を用いることで「個人の好みの味バランス」を見える化し、そしてその個人の嗜好タイプをパターン化して各人がどの様な味を好むのかを推測する事を行ってきました。(2018.07.24[味香り戦略研究所 自主調査結果リリース]個人の“おいしい”が事前予想可能に! http://www.mikaku.jp/news/press20180724.html )
 今回、事前に「ラテの味わいを数値化」し、「各コンビニカフェラテがどの世代に好まれるか」の予測を発表いたします。

図1

 昨今、次々にコンビニではコーヒーマシンが導入され、手軽に淹れたてのコーヒーが飲めるようになった。コンビニ各社はコーヒー豆の種類やロースト、水質・水量の調整、提供時間やインターフェイスのわかりやすさ等々が試行錯誤され提供に至っている。さらにラテをいれることのできるマシンが登場したことで、ミルクの選定や量、はたまた機械自体の入れ替えも激化している。

 実際に各コンビニがどのような味わいを提供しているのか、そして各コンビニユーザーが果たしてその味に満足しているかはマーケティングデータやアンケート、会場調査等の出口調査をしなければならなかったが、個人の好みの味を推測することでターゲット属性が絞られる可能性が出てきた。
 そこで今回は事前に「ラテの味わいを数値化」し、「各コンビニカフェラテがどの世代に好まれるか」を予測することにした。

【サマリー】
■カフェラテ市場からみた主要コンビニカフェラテの味わい
セブンイレブン :苦味が強く、ミルク感の余韻が特徴。
ローソン    :バランスのとれた苦味にミルクの余韻がやや際立つタイプ。
同社ダブルエスプレッソラテ:しっかりとした苦味でミルクの余韻はすっきりとし、苦味の余韻が全面に出てくるのが特徴。
ファミリーマート:苦味が若干控えめで、平均的な余韻のバランスを持つ。

■年代別嗜好性の調査(特に苦味・うま味・甘味)
・苦味 :年代が増すごとに苦味嗜好者が増える。
・うま味:年代で変わりはない。
・甘味 :年代が増すごとに甘味嗜好者が減る。

■各コンビニカフェラテを特に好む世代予測
セブンイレブン      :20-30代、60代
ローソン         :20-30代、60代
同社ダブルエスプレッソラテ:40~60代
ファミリーマート     :20-30代

 味香り戦略研究所では実食を伴わない食経験を問うアンケート(N=2,000)によって、個人の嗜好をパターン化し、分類することを行ってきた。今回は、パターン化した分類の活用例として世代ごとに嗜好がどう変化するのか、世代によってどのような味わいを好むのかを推察するモデルを作成し、更に実際の商品の味わいと比較解析を行った。

●コンビニカウンターコーヒー(ラテ)の味を比較
 主要コーヒーチェーン、ファーストフード店およびコンビニエンスストア各社のカウンターコーヒー(アイスカフェラテ)の味わいを調査し、苦味やその余韻、ミルクの余韻などのバランスを図2に示した。ゼロ点はカフェラテ全測定平均値である。

図1.コンビニカフェラテの味わいのバランス

(ミルク感がスッキリ)

 セブンイレブンは苦味が強く、まろやかでミルク感の余韻も強い。ローソンはバランスのとれた苦味にミルクの余韻がやや際立つタイプ。昨今発売された同社ダブルエスプレッソラテはしっかりとした苦味でミルクの余韻はすっきりとし、苦味の余韻が全面に出てくるのが特徴。2タイプの対照的な味の異なる製品が選べるようになったのは大きなアドバンテージであろう。ファミリーマートは苦味が若干控えめで、平均的な余韻のバランスを持つ。同社は、ブレンドコーヒーのみの対応であるが、「濃い目」という選択もできるマシンに入れ替えをしており、カウンターコーヒーのオーダーメイド化の兆しが見えてきた。以下に詳細な味わいのバランスを示す。

図2.コンビニカフェラテの味わいのバランス

●年代別嗜好パターン
 図1または2で示したように、カフェラテは苦味とその余韻の強弱のバランス、ミルクの余韻のバランスが味わいの決め手となると考えられる。これに着目し、年代ごとの苦味の好み(図3)、ミルク感はうま味および甘味の好み(図4・5)を調べることにした。

図3.年代別 苦みの嗜好

 苦味について図3を見ると年代が増すごとに苦味を好む傾向となった。苦味は本来、先天的・生理的に人が避け、食経験の繰り返しとともに獲得する味わいとされる。今回の結果からも、生活習慣の大きく変化する20代~40代にかけて、嗜好が変化していることが確認できる。また苦味が直接的に嫌いでも、甘いものと合わせることで非常に美味に感じる事ができ、コンビニスイーツの種類に地の利があるだろう。この場合別々に食べることがポイントで、シロップのように直接コーヒーに甘味を入れるよりも、別に分けて飲食(苦味→甘味→苦味…)したほうが嗜好性向上につながるとも言われている。

 同様にミルク感に起因するうま味(まろやかさ)・甘味の嗜好性を見ていくと、うま味は先天的に好まれる味覚とされており、世代間を通じて差があまりない。しかし、甘味においても先天的に好まれる味覚と言われるが、興味深いことに世代を追うごとにやや好まれない味となっていった(図5)。

図4.年代別 うま味の嗜好性

図5.年代別 甘味の嗜好性

 これらの結果から世代を追うごとに苦味を好み、甘味嗜好は減少していくという嗜好性の傾向が見えてくる。これらのことからも消費者に合った商品提供は味覚のオーダーメイドが必須とも言え、コーヒーショップのカスタムオーダーの利点は大きい。コンビニでは、ローソンのダブルエスプレッソの登場は大きな意義がある。

●嗜好パターンからみる味の好み
 図6では嗜好パターンの年代分布を基にしてそれぞれの商品が、どの世代に好まれるかを推察した結果(世代の20%以上の合致を得たものを点線で囲んだ)を示す。

図6.各商品を好む人の年代分布予測

 セブンイレブンは特に20-30代、60代に支持される可能性がある。ファミリーマートは特に20-30代の若年層に好まれる傾向の味わいになっていると推察される。ローソンのカフェラテはセブンイレブンと同様に20-30代および60代をカバーし、昨今発売された同社ダブルエスプレッソラテは特に40代以上の大人な世代に好まれ、他のコンビニにはない傾向にある。つまりローソンのカフェラテ2商品化は広い世代をカバーし、効果的な対策となるのではないだろうか。
 嗜好は歳を重ね変化する(図2・4)ことを考慮すればファミリーマートは若年層を取りこぼしてはならないだろう。同社においてはコーヒーマシンを用いたデザートドリンクが目を引き、若者や女性にも人気でそういった層の対策等々がなされているとも考えられる。

●今後の展開
 今後はコンビニでもカフェラテの多様性やオーダーメイド化が、簡単にそして細分化が進んでいく可能性があるだろう。以前の調査(2015.07.17“カフェラテ”に関する実態調査)で、ラテを飲むときは「ゆっくりとリラックスしたいとき」といったシーンにマッチしていることがわかった。さらに今回の調査では「どの味のラテ」を購入するかが開発段階で予測できる可能性がある。またラテに合わせるリコメンドも味覚データから推測可能である。よりジャストフィットした味覚を体験できる未来が待っているだろう。

■味香り戦略研究所について
 味覚センサーによる食品の味の数値化がコア技術をベースに、様々な手法によりおいしさを表現する。2004年9月の設立以来、ため込んだ10万アイテムを超える味データをデータベース化し、商品開発や品質管理、売場づくりといったコンサルティングを行うほか、独自のノウハウを基に味にまつわるセミナーや講演活動を行い、食品産業に貢献してまいります。

URL: https://www.mikaku.jp/

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