Australian Macadamia Society Limitedのプレスリリース
オーストラリア・マカダミア協会(Australian Macadamia Society)のマーケティング担当ゼネラルマネージャー、リン・ジルケ(Lynne Ziehlke)は次のように述べています。「透明性へのニーズは常に高く、持続可能な生産は多くの人にとって譲れないものとなっています。生産増の圧力に耐えられる、環境への負担が少ない原材料を選ぶことは、現在および将来、生産者と消費者の両方にとって、ますます求められる要素となるでしょう。また、マカダミアナッツを自社製品に取り入れることで得られる味覚、食感、高級感、ヘルシーさについては、すでに多くのメーカーの間で幅広く認知されています。そのような中、今回、マカダミア産業の持続可能性を皆さんと共有できることを大変嬉しく思います。水の利用効率から炭素隔離、炭素排出量の最小化、副産物のリサイクル、世界最高の生物学的防除に至るまで、マカダミア産業は、この分野の目標をほぼ達成しようとしています。」
研究で明らかになった、マカダミアの木が本来持つ持続可能性
マカダミアの木は、水の使用量を最適化し、大気中の炭素を隔離する能力が備わることから、植物界における持続可能性の巨人と言われています。
今回、オーストラリア、クイーンズランド州のマカダミア果樹園にある木の樹液の流れを科学的に分析した結果、マカダミアの木は以前の推計よりも効率的に水を利用していることが明らかになりました。マカダミアの木は、優れた内部水分管理システムにより、水分が少ない時には木の気孔を閉じて、周りの環境、特に干ばつ[6]に適していることがわかりました。
他の作物は、外部環境の変化により、大きなストレスを受け、収穫量が安定せず、サプライチェーンに大きな影響を与えることがあります。一方、マカダミアの木には、外部環境が激しく変動しても、それを乗り切ることができる驚異的な自然の能力が備わっています。
ジルケは次のように述べています。「このような耐性が備わっていることから、マカダミアナッツは天候が不順なときでも安定して収穫することができます。」
これらの研究結果により、生産者はよりスマートで効率的な灌漑スケジュールや水管理手法を採用し、人の介入を最小限に抑えながら、信頼性の高い供給を維持することができます。
別の研究結果[7]では、オーストラリアの平均的なマカダミア果樹園では、1ヘクタールあたり年間17トン以上の総炭素および14.5トン以上の炭素を大気中から吸収していることも明らかになりました。マカダミアの木は、その大きさ、葉の量、寿命の長さから、その他の多くの作物よりも、たくさんの量の炭素を保持できることができます。
二酸化炭素と廃棄物の排出量を最小限に抑えるオーストラリアの生産者
オーストラリアの800軒以上のマカダミア生産者は、果樹園での人的作業を可能な限り減らす事を表明しており、そのことについて、ジルケは次のように述べています。「オーストラリアのマカダミア産業は、マカダミアの木による炭素の吸収だけでなく、重油を消費する機械や輸送手段の使用を最小限に抑えることで、炭素排出量を制限しています。また、果樹園での人の介入を少なくする一方、加工施設を主要な果樹園敷地内に設置することで、果樹園から遠く離れた場所に移動することなく、ナッツの殻取り、乾燥、梱包を行えるようにしています。」
マカダミア生産者は、マカダミアの木とナッツの殻など廃棄せず、全てを再利用、またはリサイクルしています。マカダミアの殻は発電や家畜の飼料に使われ、枝や葉などの有機物は木の下の土に戻されます。
自然に逆らうのではなく、自然に働きかける
オーストラリアのマカダミア産業では、持続可能な栽培方法と生産性は両立できると考えられており、ジルケは、次のように述べています。
「持続可能であればあるほど、生産性が高まることは間違いありません。この理解に基づき、オーストラリアのマカダミア産業では、農場での革新的な発想、生物多様性の向上、効果的な生物学的防除の開発を促進しています。」
オーストラリアのマカダミア産業は、病害虫防除景観を広範囲に取り入れていることからも分かるように、可能な限り自然環境に働きかけています。これは、生物多様性を高めることで自然環境にバランスをもたらし、有害な害虫を抑制する有益な昆虫を繁殖させることに重点を置いた取り組みです。具体的には、マカダミアの木の周りに多種多様な植物を植えたり、木の間に草やマメ科植物、ブラシカなどの植物を植え、花を咲かせることで、自然受粉[8]を促しています。
ジルケは次のように述べています。「オーストラリアのマカダミア産業には、生物学的防除による害虫や病気との戦いの長い歴史がありますが、最もよく知られているのは寄生蜂トリコグラマの導入です。」
オーストラリアは現在、生物学的防除におけるもう一つの大きな取り組みである、自然な有害生物防除として知られる昆虫病原菌の研究の最前線にあり、その試験が間もなく完了する予定です[9]。
ジルケはまた、次のように述べています。「研究者たちにより、最も効果的な菌類が分離され、果樹園での試験を実施して、最適な使用時期を特定していく予定です。オーストラリアのマカダミア生産者は、環境に配慮した農業に熱心に取り組んでおり、これもまた素晴らしい生物学的防除の一つとなるでしょう。」
マカダミアの殻
マカダミアナッツ
マカダミア園の夕焼け
[1] 「How Retailers Can Thrive In The Era Of The “Conscious Consumer”」https://www.forbes.com/sites/ibm/2020/01/11/how-retailers-can-thrive-in-the-era-of-the-conscious-consumer/#1902d5242416
[2] 「Meet the 2020 Consumers driving change」IBM institute for Business Valueと全米小売連盟(NRF)https://www.ibm.com/thought-leadership/institute-business-value/report/consumer-2020# [3] 「The Conference Board® Global Consumer Confidence Survey(全米産業審議会®世界消費者信頼感調査)」2017年第2四半期にニールセンと共同で実施https://www.nielsen.com/eu/en/insights/article/2018/global-consumers-seek-companies-that-care-about-environmental-issues/ [4] 「Vegan Store: Japan’s first vegan convenience store」https://www.japantimes.co.jp/life/2020/01/18/food/vegan-store-japans-first-vegan-convenience-store/#.XrOD8i4zaHt [5] 財務省のデータ [6] 「Summer 2019 AMS Bulletin Volume 47 Number 4, Tree Water Management Special Feature(2019年夏AMS会報第47巻第4号、樹木水管理特集)」樹木生理学者ダン・マンソン博士、園芸家テューニス・スミット氏 [7]「Agroforest Syst, 2013(アグロフォレストリーシステム2013年)87:689-698、オーストラリアのマカダミア産業向けの炭素隔離の予備的モデリング」マーフィー・ティム、グラハム・ジョーンズ、ジェリー・ヴァンクレー、ケビン・グレンクロス [8]「“Piccadilly Park” – Macadamia Inter Row Project Results(ピカデリーパーク-マカダミア・インターロウ・プロジェクトの結果)」(2020年4月)、アビゲイル・マキム博士とクリストファー・カー博士 [9] 南クイーンズランド大学のキム・トゥイ氏、ニューサウスウェールズ州第一次産業省、クイーンズランド州農業水産省との共同研究■オーストラリア・マカダミア協会について
当協会は、1974年、オーストラリアのマカダミア生産者、加工・販売業者等を含む、マカダミア産業を統括する機関として設立されました。マカダミアの生産/加工に関する情報交換や品質基準の設定、ブランディング、販売促進活動など、あらゆる面において、マカダミア産業の発展をサポートしています。
1人でも多くの方々にオーストラリア産のマカダミアを食べてもらいたい。そんな思いが一粒一粒に込められているマカダミアナッツの魅力を、日本の消費者の皆さまにお伝えするさまざまな活動を展開しています。
オーストラリアは世界有数のマカダミアナッツ生産国であり、マカダミアはオーストラリアで4番目に大きい輸出作物です。現在、800軒以上の生産農家が、年間45,000トン以上のマカダミアナッツを収穫し、その70%が40カ国以上に輸出されています。