協同乳業株式会社のプレスリリース
メイトーブランドの協同乳業株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:後藤 正純)の松本 光晴主幹研究員が取り組んできた研究「腸内細菌叢の代謝制御によるポリアミン産生技術を用いた機能性食品の開発」が、公益社団法人日本農芸化学会の2020年度の「農芸化学技術賞」を受賞しました。
今回の受賞は、複雑で個体差のある腸内細菌叢による生理活性物質(ポリアミン*1)の産生を誘導し生体に供給することで、健康増進効果を得るという先導的なコンセプトのもと、その技術を確立し機能性食品へ応用した20年間におよぶ研究が高く評価されたものです。また、その過程で実施・発見した以下の点も評価されました。
- 2010年前後に、黎明期であったメタボロミクス*2を世界に先駆けて腸内細菌叢の代謝産物解析へ応用し、食事の影響を除去する統一食摂取糞便解析法を確立し、これらを用いて、ポリアミン産生誘導物質アルギニンの発見に成功したこと
- アルギニンとビフィズス菌LKM512を用いた腸内細菌叢によるポリアミン産生技術を確立し、それを応用したヨーグルトを開発するとともに、このポリアミン産生メカニズムとして「腸内ハイブリッド・ポリアミン生合成機構」を遺伝子レベルで明らかにしたこと
- マウス試験で、アルギニンとビフィズス菌LKM512の長期併用投与がポリアミン産生を誘導し、対照マウスと比較して、寿命が伸長し、高齢化した時の学習記憶力の成績が良くなることを明らかにしたこと
- ヒト臨床試験で、コンセプト通りに生理活性物質(ポリアミン)の腸内での安定的産生、さらに生体(血液)への移行を確認し、増加したポリアミンの作用で動脈硬化発症プロセス初期に低下する血管内皮機能の改善効果が得られることを見出したこと
- 一連の研究成果の波及効果として、商品化による社会実装が評価されると共に、腸内細菌叢の代謝産物の研究分野、ポリアミン研究分野、機能性食品分野へも強い影響を与え、これら分野の発展に貢献していること
当社は引き続き、この腸内ポリアミン濃度を高める技術・食品のさらなる社会実装を進め、ポリアミンの生理活性による動脈硬化症をはじめとした老年病の予防を通して、国民の健康寿命伸長に貢献してまいります。
受賞研究の詳細は下記をご覧ください。
●農芸化学技術賞
https://www.jsbba.or.jp/about/awards/about_awards_tech.html
*1ポリアミン: DNA、RNA、タンパク質の合成および安定化や細胞の増殖および分化に関与している生理活性物質であり,全ての生物の細胞に普遍的に存在する。抗炎症作用、抗変異原作用、オートファジーの誘導、腸管バリア機能の維持・促進などの作用が報告されている。加齢に伴い生体内濃度が減少することが知られており、これを補充することで健康寿命が伸ばす研究が日本とヨーロッパで行われている。
*2メタボロミクス:細胞や生体内に存在するアミノ酸や糖、脂質などの代謝物質を網羅的に解析する手法、および代謝産物データより生命現象を総合的に理解しようとする研究分野。
【会社概要】
会社名:協同乳業株式会社
代表取締役:後藤 正純
本社在地:〒103-0016 東京都中央区日本橋小網町17-2
事業内容:1.牛乳、アイス、デザート、乳製品の製造、販売
2.牛乳をもとにした素材事業など
企業URL:https://www.meito.co.jp/