クックビズ株式会社のプレスリリース
■調査概要
「飲食店のランチ営業に関する実態調査」
調査対象:全国の飲食店
有効回答数:185
立地:首都圏80、中京圏21、近畿圏45、地方圏39
展開店舗数:1店舗:54、2−10店舗:75、11−100店舗:37、101店舗以上:19
調査期間:2018年7月6日~2018年7月13日
調査方法:インターネット調査
またこの調査結果については以下サイトにも詳細を記載しています
「クックビズ総研」https://cookbiz.jp/soken/news/lunch_eigyo/
◎ランチ営業を行っている飲食店は85.4%。原価率は平均32.3%
今回アンケートに回答した飲食店185店舗のうち、ランチ営業を行っている店舗は全体の85.4%という結果となり、ランチ営業を行っているのは多数派ということがわかりました。
続いて、ランチ営業を行っている飲食店に対して原価率を聞いたところ、平均32.3%という結果でした。一般的な飲食店では、フードコストは原価率30%前後、ドリンクやアルコールのコストが原価率10%~25%。ランチタイムはアルコールがあまり出ないこともあり、夜に比べて原価率が全体的に高くなりがちです。
さらに、ランチメニューの価格によって原価率に違いがないか聞いたところ、ランチの一人当たり平均単価が4,000円以下の飲食店では、原価率が約32%前後であるのに対し、一人当たり平均単価4,000円以上のランチの飲食店では、原価率が38.3%と価格が上がる結果になりました。
◎ランチ営業が赤字の店は全体の16.5%。高級店では業績が二極化
アンケートでは、ランチ営業を行っている飲食店のうち、黒字店は44.3%、利益も損も出ていない店は39.2%、赤字店は16.5%という結果となり、8割以上のお店はランチ営業で損を出していないことがわかります。
ただし、ランチの一人当たり平均単価を4,000円以上で設定している高級店では、黒字店が50.0%、赤字店が37.5%と、収益面での明暗がくっきりとわかれ、二極化しています。通常よりも赤字店が多いのは、ランチの原価が高い分、ドタキャンや売れ残りの売り上げに対する影響が大きいことが理由として考えられます。
◎ランチ営業の狙いは売り上げだけではなく、口コミ拡散や集客力強化も
飲食店へランチ営業に取り組む具体的な理由を聞いたところ「稼働率を上げ、売り上げを伸ばす」がもっとも多く58.2%、続いて「口コミを広げ、人気を集める」が32.9%、「ディナー営業の宣伝」が23.4%、「食材ロスを削減する」が18.4%という結果でした。
ディナーでは入店しにくいと敬遠されがちな店は、ランチで敷居を下げ、幅広い客層へアピールすることで得られる集客効果に期待をしているようです。
アンケートでは、ランチ営業についての狙いについて、具体的なコメントをいただきました。
•「ランチとディナーでは、客層がまったく異なります。ランチは主婦層を中心にご来店いただき、口コミによる評価もいただいています。」(京都府/中華料理/平均客単価: ランチ3,000円、ディナー11,000円)
•「昔はディナー営業へ(の集客に)つなげることを意識して、ランチに原価をかけて提供していましたが、今は、ランチとディナーのお客様でニーズが異なる為、昼と夜の違いをしっかり打ち出さないと売上げにつながりません。」(東京都/フレンチ/平均客単価: ランチ3,000円、ディナー8,000円)
•「地域の活性化! 商店街に店舗があり、ディナーのみよりも、ランチを営業することにより、 活気ある街造りを意識しております。」(静岡県/イタリアン/平均客単価:ランチ1,150円、ディナー3,000円)
◎ランチ営業をしない理由は「採算が取れないから」が40.7%
最後にランチ営業をしない店にその理由を尋ねてみたところ、
「採算が取れない」(40.7%)、「スタッフの確保ができない」(37.0%)などマイナスの理由ばかりではなく、「ディナーだけで経営が成り立つ」(29.6%)などの意見もありました。
ほかには、安易なランチ営業に危機感を持つべきだとする意見もありました。
•「以前はディナーの宣伝のために毎日ランチ営業をしていたが、長時間労働になり、ディナー営業も安定してきたので、現在は完全予約制にしている。昼の需要がある立地であれば、ランチ営業はしてもいいが、そうでなければ夜の営業に注力すべき。安易な考えで結局どちらも中途半端にすべきではない。」(沖縄県/創作・ダイニング/平均客単価:ディナー8,000円)
•「ディナーメインの業態の不用意なランチ営業は、長時間労働の温床になり、ディナーの質が下がります」(京都府/焼肉/平均客単価:ディナー5,000円)