オークラ ホテルズ & リゾーツのプレスリリース
ホテルオークラ東京(所在地:東京都港区、代表取締役社長:池田 正己)は、2019年9月12日のThe Okura Tokyo開業に向け、何がどのように引き継がれていくのか、取り組みの一片をシリーズで紹介。
レストランやホテルにおいて、重要な役割を示すシルバーウエア。 ナイフ・フォーク類のカトラリー、袋物と呼ばれるスープチューリンやコーヒーポット、パーティーや結婚式などの宴席に華やぎを添えるジャーマンプラターや飾台などの大型銀器まで、その種類はホテルオークラ東京だけで約500種類に達する。
■歴史
ホテルが開業した1962年当時、既にメッキのグレードにも明確な日本工業規格(JIS)が存在していました。日本の贅を余すことなく採用してきた館内随所の意匠、それらと同様に備品についてもJIS規格で従来にない高品質の“オークラスペック”を定めた記録が残っている。
「地金が厚いこんな素材を使っているホテルはない、メンテナンスさえしっかり行えばあと50年以上も使い続けることが可能」と長年にわたって、修理補修を施している金属洋食器職人の声に裏打ちされる。館内で使用されているカトラリーの中には、開業当時のロゴマークである<富士山>と<1962>、別館開業年である<1973>と製造年の刻印がある銀食器が多数存在している。
■時代
高級品である大型銀器の大半は、江戸時代からの銀の錺物職人が転向した洋食器を取り扱う町工場で手掛けられていた。その大半が葛飾や荒川周辺に存在し、オークラの銀食器も特命で発注。
ブドウのレリーフが施された銀の大皿や、鳳凰の装飾が印象的な大型中華盛り皿など、金属工芸の粋ともいうべき東京銀器の傑作が今も大切に引き継がれている。高度成長とともに、廉価で取り扱いが容易なステンレス食器類の普及、景気に左右されながら町工場の後継者不足なども深刻化している。現在オークラでは、新規に部品等の発注もできないため、壊れた部品を保管し補修用パーツとして活用している。形も数も贅沢で貴重な銀食器は、ホテルの財産としてThe Okura Tokyoへ引き継ぐための準備が続いている。
■洋白
オークラの銀器は柔軟性・加工性に富み、硬貨や装飾、金管楽器にも使用される「洋白(ニッケルシルバー)」と呼ばれる厚手の合金に銀メッキを施し、表面につや消し加工を施しているのが特徴である。ホテルのメインコンセプトであった、日本の伝統美を表現する館内各所の意匠との調和を配慮し、銀器においては、ヨーロッパでよく見られる鏡のようなミラー加工を施した華美のものとは異なり、「洋白」という日本の美意識に裏打ちされたオークラ独自のデザインとして、戦後日系ホテルで初めて採用した。
■メンテナンス
銀器は、紫外線や空気中の物質に化合し黒ずんでしまうため、使用後の丁寧な手入れと職人による定期的な維持管理が不可欠となる。開業当時からメンテナンスを依頼している港メッキ工業所*にて、変色してしまった銀器を板金、研磨、再メッキ加工を施す。通常はこの工程で終了するところ、オークラ指定の「洋白」仕上げ加工を行うために、光沢が再生された銀器に柔らかいバフと呼ばれる固形の研磨剤を用いてつや消し加工を行い、新品同様の姿を取り戻す作業を行う。
現在、The Okura Tokyo開業にむけ、約210種4万点の化粧直しが全て手作業で行われている。
*有限会社 港メッキ工業所
http://mm-ag.jp/
港メッキ工業所は、戦前に軍刀店として創業。1950年に現在の有限会社港メッキ工業所が港区で設立。戦後、軍刀の需要が無くなり新たに洋食器の銀メッキ・研磨加工を手掛け創業から現在まで国内ホテル、レストランなどの金属洋食器の加工分野では業界トップ。新技術「出張高速メッキ」の導入によって事業を大幅に拡大している。
<新ホテル「The Okura Tokyo」概要>
開業予定日:2019年9月12日
延床面積:約180,000㎡
客室数:508室
レストラン・バー:レストラン5店舗、バー3店舗
宴会場:19室
ご予約について
宴会、婚礼 : ご予約受付中
宿泊、レストラン:2019年4月開始予定
【ホテルオークラ東京について】
穏やかで安らぎに満ちた、日本ならではのおもてなしのスタイルを表現したロビー。それは、時を越えて輝きを放つ「和の伝統美」の結晶です。伝統を大切にしながらも常に最高の味を求めて前進する料理、癒しや寛ぎを追求した様々なタイプの客室。時代に流されない確かな品位と新しいスタイルが絶妙に交差した本物のオリジナリティが溢れるホテルです。1962年の開業より親しまれてきた本館は2015年8月末に営業を休止し、 現在は、別館で営業を継続しております。新ホテルにつきましては、2019年9月12日に「The Okura Tokyo」として開業予定です。