東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォームの設立

双日株式会社のプレスリリース

株式会社みらい共創ファーム秋田、双日株式会社、および農研機構は、8月3日、東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォームを設立しました。このプラットフォームは、タマネギのスマート安定生産技術を活用して、加工・業務用タマネギの新たな産地形成と生産・加工・流通システムの構築に向け、地域の関係者間の連携、情報交流を行う場として広く活用されることを目的としています。

国産タマネギの主な産地は北海道と西日本ですが、7~8月はこれらの産地から出荷が少なくなります。タマネギは加工・業務用として一年中需要があるため、この国産の端境期には中国からの輸入が増加しますが、食料安全保障の観点からも、国産タマネギの供給拡大が求められています。
タマネギの生育適温は20~25℃で東北地域では7〜8月に収穫することができます。しかし、苗の移植適期が短いこと、収穫時に降雨が多く収穫適期をのがす等の問題があり、安定した生産、大規模化、加工・流通体制の構築に至っていない状況です。そこで、東北におけるタマネギ生産を促進するため、広く地域の関係者間の連携、情報交流を行うために本プラットフォームを設立しました。
プラットフォームでは、その先行的な活動として産地形成のための生産・加工・流通の広域連携モデル構築を実施します。農研機構が開発するスマート安定生産技術を活用し、株式会社みらい共創ファーム秋田において安定生産を実現し、双日株式会社が流通販売のモデル構築を行う計画です。東北地域のタマネギ生産面積700ha、30,000t(2025年度)を目標に取り組みを進めます。
タマネギに関する生産・加工・流通モデルを広域展開し、東北地域を国産タマネギの主要産地の1つとするため、生産者・団体、流通・加工、その他にかかわる法人のご参加を広く募ります。関心のある方は本プラットフォーム事務局(本ページ下部記載のメールアドレス)にお問い合わせください。

背景                                     
1)農業経営面
国内では主食用米の需要が長期的に減少していますが、野菜などの園芸品目は需要が堅調であり収益が稲作よりも高いことから、その導入・拡大は生産者所得の向上、ひいては持続可能な農業経営の実現に貢献できます。また、安全・安心な国産野菜に対する加工・流通業者のニーズも年々高まっており、加工・業務用野菜の生産拡大が期待されています。
2)需給面
国産タマネギは、主産地である北海道、佐賀県、兵庫県で約8割が生産されており、西日本産から北海道産に切り替わる6〜8月の期間に国産の供給量が減ります。そのため、この時期には国内消費量の約6割を占める加工・業務用向けタマネギで輸入品の使用が増えますが、国産タマネギの需要は強く供給拡大が求められています。また、主産地が限られていることは、一産地の不作が供給量や価格に直結し、関係業界や国民生活に大きな影響を与えることとなります。
3)技術面
東北地域は気象条件から7〜8月に収穫が可能ですが、タマネギ生産面積は小さい上に生産地は点在しており、移植適期が短い、収穫時の降雨など栽培上の問題点があり、生産が安定せず、各生産地の出荷量も少ない状況で、安定生産のための栽培技術と、安定供給のための産地形成と流通システムの構築が求められています。
これを受け、近年、農研機構では東北地域におけるタマネギ生産の安定多収生産、省力・大規模生産に向け、標準作業手順書(SOP)の作成、スマート農業実証プロジェクト(農林水産省事業)の実施等を進め、開発技術を現場適用する段階となっています。

設立目的・目標                                 
東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォームは、多様な分野の会員が集まって交流することによって新たなイノベーションを創出する目的で農林水産省が運営している、『「知」の集積と活用の場®』の中で設立します。タマネギスマート安定生産技術を軸として、生産・加工・流通システムのモデルケースの構築を行い、東北地域での産地形成と連携を推進していくことを目的としています。本研究開発プラットフォームの場を活用して、生産から加工、流通、消費に係る個人・法人の連携を促進し、国産野菜の供給力強化に取り組んでまいります。
当面の目標として、東北地域のタマネギ生産面積700ha、生産量30,000t(2025年度)を設定して取り組みます。

体制                                    
本研究開発プラットフォームは、栽培技術の開発と改良を行うリサーチセクタ、安定生産技術を実証する生産セクタ、生産物の流通・加工を行うビジネスセクタから構成され、東北地域におけるタマネギ生産・流通の広域連携システムの構築を行います。
プラットフォームは生産から加工・流通・消費に関わる幅広い個人、法人が参加できるオープンな活動母体であり、各セクタの活動を通じて事業化に向けたビジネスモデルの策定や、新たな技術開発を目的とした共同研究グループである研究開発コンソーシアムの形成に取り組みます。
本プラットフォームでは、プラットフォームを代表してその理念を提示する代表、コンソーシアムの進捗管理を統括するプロデューサー、担当セクタを主導する役割を担うコーディネーター、運営庶務を担当するプラットフォーム事務局を設置します。設立時の代表は(株)みらい共創ファーム秋田 代表取締役社長 涌井 徹 氏が務めます。全体の体制は表1のとおりです。

詳細情報                                 
・設立日:2022年8月3日
・主たる事務所の所在地
 岩手県盛岡市下厨川字赤平4番地
 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構
 東北農業研究センター 事業化推進室
 TEL:019-643-3433 (代表) e-mail:jigyoka@ml.affrc.go.jp
・設立時の会員の名称又は氏名及び住所
(1)国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(東北農業研究センター)
   茨城県つくば市観音台3-1-1(岩手県盛岡市下厨川字赤平4番地)
(2)株式会社 みらい共創ファーム秋田 秋田県南秋田郡大潟村字西四丁目88番地
(3)双日株式会社 東京都千代田区内幸町2-1-1

参考図                                  

図1 産地形成・連携による端境期の国産タマネギの供給図1 産地形成・連携による端境期の国産タマネギの供給

 

 

図2  プラットフォーム概要図 上:設立時 下:参画機関が増え発展後図2  プラットフォーム概要図 上:設立時 下:参画機関が増え発展後

【東北タマネギ生産促進研究開発プラットフォーム運営体制】

代表

涌井 徹

(株)みらい共創ファーム秋田 代表取締役社長

プロデューサー
(事業統括)

佐々木 英和

農研機構 東北農業研究センター 畑作物園芸研究領域長

コーディネーター

(リサーチセクタ)

川口 健太郎

農研機構 東北農業研究センター 所長

コーディネーター

(生産セクタ)

千葉 健太

(株)みらい共創ファーム秋田 経営企画部長

コーディネーター

(ビジネスセクタ)

本田 欣之

双日(株)農業・地域事業開発室 専門室長

吉川 保

双日(株)農業・地域事業開発室 農業開発課 上級主任

秋山 峻亮

(株)みらい共創ファーム秋田

事務局

農研機構 東北農業研究センター 事業課推進室

柴 伸弥

田宮 誠司

 

タマネギ生育ほ場(株式会社みらい共創ファーム秋田)タマネギ生育ほ場(株式会社みらい共創ファーム秋田)

 

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