高効率・環境負荷低減を実現する、PET※1ケミカルリサイクル※2技術を2件開発

キリンホールディングス株式会社のプレスリリース

~PET分解時間9割削減、精製に必要な薬品も削減。精製技術は早稲田大学との共同成果~

 キリンホールディングス株式会社(社長 磯崎功典 以下キリン)のキリン中央研究所(所長 矢島宏昭)は、PETを分解する工程を、短時間・低エネルギーで実現する「アルカリ分解法」を開発しました。また早稲田大学理工学術院(所 千晴 教授)との共同研究で、PET分解後のモノマー※3を精製する工程において、環境負荷軽減とコスト削減を両立した「電気透析」による精製法を開発しました。この2つの技術は特許出願中であり、組み合わせて使用することで、分解・精製工程で使用する化学薬品のリサイクル利用も可能になります。

 近年、プラスチックの廃棄物問題などが注視される中、日本では2022年4月に環境省より「プラスチック資源循環促進法」が施行され、規制ではなく循環させる社会構築が進められています。当社では、「キリングループ環境ビジョン2050」や、「キリングループプラスチックポリシー」を制定し、それらの達成に向け新たな技術の開発をグループ内のさまざまな部署で研究を進めてきました。

※1 ポリエチレンテレフタラート

※2 PETの中間原料まで分解、精製したものを再びPETに合成する方法

※3 PET(ポリマー)を構成する最小の単位

 従来の代表的なケミカルリサイクル法※4は、PETを分解するために高い温度・圧力設定が必要であり、処理に数時間かかっていました。当社は、より効率的なPETリサイクルを実現すべく、「アルカリ分解法」を開発しました。当技術は、研究所内での試行錯誤を経て確立した技術であり、PETとアルカリ成分とアルコールを一定の割合で混ぜることで、35~55度という低温で、15分程度の短時間でPETを分解する新技術です。分解処理にかかる時間はグリコリシス法などの従来法と比較し、約9割削減できます。

※4 加水分解法・メタノリシス法・グリコリシス法など

 さらに早稲田大学との共同研究で、「電気透析法」を活用したモノマーの精製法を開発しました。この技術を採用することで、従来必要としていた化学薬品を大幅に削減でき、発生していた副産物の廃棄も不要になります。さらに「電気透析法」を使用することで精製工程中にアルカリ成分を再生でき、これを分解工程で再利用できるため、資源循環型のリサイクルプロセスも実現できます。

         「アルカリ分解法」「電気透析法」を活用した資源リサイクルイメージ

■キリングループの「容器包装」に関する取り組みについて

 キリングループは、社会と企業のレジリエンス強化へ向けた新たなビジョン「キリングループ環境ビジョン2050」を策定し、「容器包装を持続可能に循環している社会」を目指すことを宣言しています。

 また「キリングループ プラスチックポリシー」では、2027年までに日本国内におけるPET樹脂使用量の50%をリサイクル樹脂にすることを掲げています。

 キリングループは、今回開発した2つのPETケミカルリサイクル技術の実用化に向けて、新たなパートナーを探索し、「容器包装」に関するビジョンの達成と、環境に配慮しながら資源が循環し続ける社会を目指します。

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