​「すべての遺伝子組み換え食品を義務表示の対象に」生協が連名で意見書を提出

生活クラブ事業連合生活協同組合連合会のプレスリリース


【遺伝子組み換え食品表示に関する意見書】

●はじめに
2017年4月から2018年3月まで開催された「遺伝子組み換え食品表示制度に関する検討会」の報告書が、3月28日に公表されました。報告書は、表示義務対象品目を拡大せずに「現行制度を維持することが適当」とする一方で、「『遺伝子組み換えでない』表示が認められる条件を現行制度の『5%以下』から『不検出』に引き下げることが適当」としています。
私たち消費生活協同組合は、遺伝子組み換えでないトウモロコシの分別生産流通管理(IPハンドリング)によって遺伝子組み換え作物を避ける活動を生産者と連携して続けてきました。今回まとめられた報告書は、遺伝子組み換え食品を避けたいと考える消費者にとって選択の機会が奪われる結果を招きかねないと懸念し、今後の遺伝子組み換え表示制度に対する意見を表明します。

●すべての遺伝子組み換え食品を義務表示の対象にすべきです。
現行の遺伝子組み換え表示制度の最大の問題は、表示義務対象原材料の範囲が限られていることです。遺伝子組み換えされたDNAやそれによって発現したタンパク質が最終製品から科学的に検出できる食品のみを表示義務の対象としているため、食用油、果糖ブドウ糖液糖など遺伝子組み換え由来の原料が加工食品などに幅広く使用されているにもかかわらず、消費者の知る権利が阻害されています。
現在、加工食品の表示において、ほとんどの食品に遺伝子組み換え表示が見られませんが、これには二つの相反する意味があります。
①遺伝子組み換え由来の原料が含まれない(義務表示の対象の場合。国産大豆を用いた豆腐や納豆など)。
②かなりの確率で遺伝子組み換え由来の原料が含まれる(義務表示の対象でない場合。輸入の不分別原料から搾油された食用油、輸入の不分別トウモロコシから作られた糖類を原料とした飲料を含む加工食品など)。
このように表示がない食品に遺伝子組み換え原料が全く使われていないわけではなく、逆に遺伝子組み換え原料をほぼ100%使って作られている場合があることが、現行制度の最大の欠陥であり、消費者の誤認を招く最大の原因です。
私たちは、生産者と協力して、信頼できる分別生産流通管理(IPハンドリング)の仕組みを作り上げてきました。科学的検証のみに頼るのではなく、トレーサビリティ(社会的検証)を根拠として全品目が義務表示の対象となれば、このような紛らわしさは一気に解消されます。

●すべての遺伝子組み換え食品が義務表示の対象となるまでは、任意表示は現行のあり方を維持すべきです。
上述のように「遺伝子組み換え」あるいは「遺伝子組み換え不分別」の表示がほとんど見られないまま、「遺伝子組み換えでない」表示の条件だけを厳格化すれば、分別生産流通管理(IPハンドリング)で区分流通したものを原材料とした加工食品は、これまでのように「遺伝子組み換えでない」表示ができなくなることから、「遺伝子組み換えでない(ものを分別)」表示が実態として減少し、消費者にとって遺伝子組み換えでないものを選択するための表示が実質的になくなってしまうのではないかと危惧します。
今後、混入率5%以下の分別生産流通管理(IPハンドリング)が適切に実施された食品の表示方法が検討され、Q&A等で示されるとのことですが、これまで示されてきた文例を見ると、とても文字が多く、より分かりにくい表示になってしまうのではと懸念します。今回の改正は任意表示のため、リスクを負ってまで厳密でわかりにくい表示をするのではなく、あえて表示しない事業者が増えれば、これまで遺伝子組み換えでない原料を確保するためにすすめてきた分別生産流通管理(IPハンドリング)のしくみそのものに対しても大きなダメージとなります。
任意表示のあり方については、すべての遺伝子組み換え食品が義務表示の対象となったうえで改めて検討すべきです。

以上

生協ネットワーク21
生活協同組合連合会アイチョイス 代表理事 大宮隆博/あいち生活協同組合 代表理事 寺西道治/生活協同組合ぷちとまと 代表理事 子安貞継/生活協同組合あいコープみやぎ 代表理事 高橋正人/生活協同組合あいコープふくしま 代表理事 佐藤孝之/一宮生活協同組合 代表理事 舩橋拡行/自然派くらぶ生活協同組合 代表理事 山本眞一郎/常総生活協同組合 代表理事 伊藤博久/やまゆり生活協同組合 代表理事 加藤慎吾/よつ葉生活協同組合 代表理事 和久井克孝/なのはな生活協同組合 理事長 加瀬伸二/生活協同組合連合会コープ自然派事業連合 理事長 神野利夫
グリーンコープ共同体 代表理事 熊野千恵美
生活クラブ事業連合生活協同組合連合会 会長 加藤好一

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