ペプチド研究において日本生物工学会 2021年度「生物工学技術賞」受賞

森永乳業株式会社のプレスリリース

森永乳業は、膨大な数のペプチドを一斉評価可能な「ペプチドアレイ技術」を応用し、2つのペプチド評価法(①食品中のアレルゲンを高感度に検出する技術「Pep-iEIA法」、②酵素切断部位を一斉評価し特定する技術「Pep-MS Assay法」)を開発することに成功いたしました。これら技術開発の研究業績が日本生物工学会より評価され、森永乳業社員を含む5名が、2021年10月27日に「生物工学技術賞」を受賞することとなりました。

1.学会・賞概要
日本生物工学会は、2022年に創立100周年を迎える歴史ある学会です。生物工学に関する学理及びその応用の研究について情報交換を行う場となることにより、生物工学に関する研究の進歩普及を図り、学術の発展に寄与することを目的としています。本会は、生物工学の技術開発に顕著に貢献した同学会員に対し、その功績を称えて「生物工学技術賞」を授与してきました。

詳細はこちら
https://prtimes.jp/a/?f=d21580-20210826-f3a13b1f7c1d3d95103ed634d119168e.pdf

2.受賞内容
▼受賞対象となった業績
「ペプチドアレイ」を基盤とする低抗原性生理活性ペプチドの製造に関する研究
 ▼受賞者
・森永乳業株式会社         栗本 昌樹(素材応用研究所 主任研究員)
            久保 智里(フードソリューション研究所 研究員)
            越智 浩(素材応用研究所 副所長)
・名古屋大学                   本多 裕之(教授)
・東京工業大学                大河内 美奈(教授)
▼研究内容
①受賞技術「Pep-iEIA法」について
当社では、ミルクアレルギーの赤ちゃんのための育児用ミルクを開発するために、これまで牛乳たんぱく質を酵素で分解したペプチド(たんぱく質分解物)の研究を行い、アレルギー反応の起こりにくいたんぱく質源の開発を進めてまいりました。しかし一般的に、アレルギーの反応性(抗原性)を下げるためにたんぱく質を高度に分解すると、風味が悪化してしまうという問題が発生します。
「Pep-iEIA法」は、たんぱく質分解物に残存するアレルギーの原因物質(抗原物質)をペプチド配列毎に特定し、その量を測定できる技術です。本技術を用いて特定した抗原物質を狙って除去することにより、風味を損なうことなく抗原性を下げることが可能になります。これにより、良好な風味と低い抗原性を両立したペプチドの開発が可能となりました。

②受賞技術「Pep-MS Assay法」について
当社ではペプチドの生理活性に関する研究を進め、機能性ペプチドの開発を進めております。ペプチドの製造において、用いる分解酵素の種類や組み合わせ、配合条件によってペプチドの特性は大きく変わるため、目的の機能を有するペプチドを開発するためには、膨大な種類の酵素の組み合わせの中から、最適な酵素の配合条件を見出すことが重要な課題となります。
「Pep-MS Assay法」は、酵素の分解特性を特定可能にする技術です。本技術を用いて酵素の分解特性を正確に把握し、目的の機能を有するペプチドを迅速に開発することが可能となりました。

 3.森永乳業のペプチド研究
当社では、50年以上前から乳由来のペプチドについて研究を重ねてきました。研究の出発点は、ミルクアレルギーの赤ちゃんに育児用ミルクを提供したいという強い使命感でした。ミルクアレルギーの多くは、牛乳中に含まれるたんぱく質によって引き起こされます。そこで、たんぱく質を酵素で分解した抗原性の低いペプチドを配合したアレルギー疾患用ミルク「MA-1」を開発し、1977年に発売しました。それ以降も研究を続ける中で、ペプチドには様々な有用な生理活性機能があることが分かってきました。近年では、収縮期血圧を下げる効果のある機能性ペプチド「トリペプチドMKP(メチオニン-リジン-プロリン)」を見出し、機能性表示食品に応用しています。

今回、受賞のペプチド評価技術を応用することで、当社ペプチド開発スピードの大幅な迅速化が期待できます。また、これまでは開発が困難であった、アレルギーの反応性が低減され、且つ疾病予防につながるような、低抗原性生理活性ペプチドを生み出し、商品に活かしていく展望が開けました。このように、当社は今後も次世代を見据えた研究開発を進め、商品を通じて人々の健康で幸せな生活に貢献することで、笑顔あふれる豊かな社会づくりを目指します。

 

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