大阪大学大学院医学系研究科、株式会社キャンサースキャンと株式会社久原本家グループ本社の3者が2022年6月13日(月)共同研究契約を完了

株式会社久原本家グループ本社のプレスリリース

株式会社久原本家グループ本社(本社:福岡県糟屋郡久山町 代表取締役社長:河邉 哲司、以下 当社)は、2022年6月13日(月)に、大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科学(下村 伊一郎 教授、馬殿 恵 寄附講座准教授)と株式会社キャンサースキャン(本拠地:東京都品川区、代表:福吉 潤)による共同研究契約を完了し、「キッチンで学ぶ生活習慣改善法」をコンセプトとする新しい生活習慣改善プログラムの開発と、その肥満・糖尿病治療としての有効性評価をめざして共同研究を開始いたしました。
本共同研究では、当社は「だし」を中心に、食と健康に関する研究や商品開発、レシピ開発を行ってきた実績を持つ観点から、大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科は、肥満・糖尿病領域の診療および研究において数々の優れた業績を有する専門家の観点から、株式会社キャンサースキャンは、”予防”の分野で培ったナッジ理論やマーケティングなどの行動変容を促進させる技術を、”治療”に応用するという観点から、3者の役割を最大限に活かしてまいります。

同プログラムのベースとなるのは、ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院で料理栄養講座のディレクターを務める医師、デビッド・アイゼンバーグ准教授が主宰する研究グループ、Teaching Kitchen Collaborative(以下、TKC)が米国で開発を行っている肥満・糖尿病治療プログラムです。当社は、昨年10月より、大阪大学大学院医学系研究科と連携し、健常人、肥満者、生活習慣病患者、高齢者など、様々な生活背景をもつ日本人に対して、健康的な生活習慣への行動変容を促すための研究開発と実用化を目的とした「ライフスタイル医学寄附講座」をスタートさせました。本講座設置は、健康的な食生活を中心とした生活習慣改善の重要性についてのエビデンス作成や、生活習慣改善アプローチ方法の開発および実用化について、その加速と発展が期待されます。特に、世界的に健康な食事として注目を集めている日本食の中心となる「だし」の健康効果について、医学的に研究を行った例はほとんどなく、「だし」に着目した「日本独自の健康的な食事」としての海外導出への展開が期待されます。

 ■ 実施の背景
現在、日本における糖尿病患者数は増加の一途をたどり、「糖尿病が強く疑われるもの」と「糖尿病の可能性を否定できないもの」を合わせると日本人約2,000万人が糖尿病またはその予備軍と考えられています(令和元年国民健康・栄養調査)。また、糖尿病の年間医療費は1兆2,239億円に及んでいます(平成29年度国民医療費の概況)。糖尿病は適切なコントロールが行われない場合、心筋梗塞、脳梗塞、腎不全、がんなど致死的疾患の発症を招き、死亡率を高め、医療費をさらに圧迫する原因となり、このような現状において、糖尿病の予防および治療における改革が求められています。
糖尿病にも様々な種類がありますが、日本人糖尿病患者の大多数は肥満により発症する2型糖尿病であり、その予防や治療には生活習慣の改善が必須です。しかし現状の生活習慣改善プロセスでは、カロリー制限や間食制限などの患者に我慢を強いる内容が中心となることが多く、治療効果が出ない患者や長続きしない患者が存在しており、日本の医療現場において有効かつアクセス可能な生活習慣改善プログラムはいまだ十分には普及していません。

■ 3者での実施内容/共同研究内容
このような状況に対して、大阪大学大学院医学系研究科内分泌・代謝内科、株式会社キャンサースキャンと当社は、新しい生活習慣改善プログラムの開発とその肥満・糖尿病治療としての有効性評価を行うために共同研究を開始しました。
これまで、肥満や糖尿病の治療を目的とした生活習慣改善指導は、座学で行われる栄養指導や運動指導が中心でした。しかし、本プログラムでは、患者やその家族が「知識だけでなく、生活習慣改善に必要な技術を習得すること」に焦点を当てています。プログラムの最大の特徴はこうした技術の習得を全て”キッチンでの実体験”を通じて行うこと。例えば、食生活に関しては、最新の栄養学のエビデンスに基づく座学に、調理実習と試食を組み合わせ、実践的な食生活改善技術を習得するところまでを目指します。同様のアプローチを、身体活動やストレス軽減に対しても行い、座学のみではなかなか身につかない生活習慣改善に必要な技術の習得を可能にするプログラムを目指します。

また、「人生100年時代」を迎えた現代社会において、食事、運動、睡眠など日々の生活を通して健康長寿を達成することがあらためて重要視されています。本プログラムにより健康的な生活を送るための技術を習得することは、将来的な肥満や生活習慣病の発症予防にもつながり、既存の患者だけではない幅広い年齢層への貢献が期待できます。

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