アサヒグループホールディングス株式会社のプレスリリース
なお設備の運転開始は2020年10月を予定しています。
■CO2排出量削減のための新技術を工場に導入、実用化に向けた最終試験を開始
アサヒグループではCO2排出量削減を目指し、工場稼働のためのベース電力を確保できるよう、エネルギー変換効率の高い燃料電池による発電設備導入に取り組んできました。燃料電池のカーボンニュートラルな動力源として、ビール工場の排水処理化工程で発生するバイオガスを用いるため、2018年6月までにガスを高純度に精製するプロセスを開発しました。精製したバイオガスを用いて小規模のSOFCで発電する試験を実施、2019年5月には1万時間の連続発電に成功しています。
今回、世界最高クラスの発電効率を誇るMHPSのSOFC『MEGAMIE』をアサヒビール茨城工場に導入し、実用化に向けた最終試験を開始します。2017年より商用販売を開始した『MEGAMIE』は、通常都市ガスを燃料としてCO2発生量の少ないクリーンな電力および熱を供給するものですが、今回の事業ではビール工場排水由来バイオガスを燃料として利用する初めてのケースとなり、バイオガスの精製設備と組み合わせることで、大幅なCO2排出量の低減が期待できます。
事業完了までに、工場排水から得られるバイオガスを動力源とした燃料電池発電技術の確立を目指します。
■技術の社会実装をめざした具体策を検討
今後各社は技術の社会実装のために具体的なスキームを検討していきます。
アサヒグループでは、食品業界をはじめ技術を活用可能な業界へ幅広く普及させるため、今回の実証事業で得られたバイオガス精製や設備導入に必要な技術に関して、特許を取得することなく、可能な限り情報を公開して参ります。
MHPSでは、今回の実証事業より得られたデータをもとに、ビール工場はもとより、様々な未利用のエネルギー源を活用できる発電システムへの展開をはかります。また、『MEGAMIE』の性能や利便性のさらなる向上にも取り組み、脱炭素社会構築にふさわしいエネルギー創出に貢献していきます。
SMFLは、リースをはじめとする各種ファイナンスサービスを提供することで、設備投資にかかる資金提供や初期費用の抑制など、燃料電池の普及を支援していきます。
アサヒグループ、MHPS、SMFLは、それぞれの強みを活かし、SOFCをはじめとするCO2排出量削減のための技術開発、および普及を促進させ、持続可能な地球環境の実現に貢献していきます。
■参考:各社の環境への取り組み
アサヒグループでは、グループ理念“Asahi Group Philosophy”において、行動指針の一つとして「事業を通じた持続可能な社会への貢献」を掲げています。また「アサヒグループ環境ビジョン2050」においては、気候変動への対応として温室効果ガス排出量削減の中長期目標「アサヒカーボンゼロ」を設定し、2050年に温室効果ガス排出量をゼロとすることを目指しています。「アサヒカーボンゼロ」の達成を目指した取り組みの一貫として、これまでに、自立型水素エネルギー供給システムや、CO2分離回収試験装置を導入し、実証試験も行っています。今後も「自然の恵み」を享受しながら事業を営む企業として、様々な環境課題に対し積極的な取り組みを推進していくことで「自然の恵み」を次世代に引き継ぐことを目指していきます。
MHPSは「優れた技術・製品で社会に貢献する」という企業理念のもと、高効率な発電システムや資源の有効活用、環境負荷の低減を実現することができる製品を世界各国に数多く納入しており、電力の安定供給や環境負荷を抑えた発展に貢献しています。
SMFLは、再生可能エネルギーや省エネルギーの設備投資に様々なファイナンスサービスの提供や各種補助金の共同申請を行っています。また、再生可能エネルギー発電事業に参入するとともにオンサイトでの自家消費太陽光発電サービスを提供しています。クリーンエネルギーの普及促進や企業の脱炭素経営を支援するソリューションを提案することで、地球温暖化の防止と循環型社会の実現に貢献していきます。